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ニッカー絵具

AMBASSADOR
ARTIST

北 英明
キタ ヒデアキ
■経歴
1972年 神奈川県出身
1996年 駒沢大学文学部歴史学科 卒業
2000年 マルチメディアアート学園 背景科 卒業

ゲーム会社、アニメ制作会社を経てフリーに。
地元湘南の風景を描きながら、個展や水彩教室の講師など幅広く活動。
現在アニメ関連の仕事はしていないが、アニメ関係者を集めた大規模な交流会を定期的に開催。
業界随一の顔の広さをもつ。
またクラゲが大好きでクラゲ愛好家としても知られている。

『デジタルから入りアナログの道で大成した異色の経歴』
北さんは一般の大学を卒業しマルチメディアアートに入るまでは美術の道を志すような進路でないのが非常に興味深いのですが。

もともと、絵は好きでしたね。絵を描くのは。
大学卒業後にゲーム会社のアルバイトで、色を塗ったりとかしてるうちに。

そこでポスターカラーと出会ったのですか?

いや、ゲーム会社はデジタルでした。フォトショップです。

なんとデジタルから入っていたのですか!

そうです。人の下絵に色を塗る作業からでして、ポスターカラーはアニメの仕事をしてからです。

では、もともとデジタルのアプリケーションに精通していたのですか?

学生自体、MSXというパソコンを触っていたのもあり、でも本格的にはゲーム会社に入って覚えましたね。
当時はスーパーファミコンからプレイステーションの時代だったんでドット絵に近く容量制限もあり苦労しましたね。
手描きの絵も好きで10代の頃は描いてました。キャラクターからですね。漫画のキャラとか。
アナログは専門学校に入学してから学びました。そこで初めてニッカーのポスターカラーと出会ったのです。

多くの背景作家さんはアナログから入りデジタルに流れるのが主流の中で珍しいですね。

何年もアナログで描いてないし、まともに教わってもなかったから最初は非常に苦労しました。
グラデーションからダメでした。ポスターカラーは難しい。
それで専門学校の一年間では覚えきれなくて、背景会社に入ってからですね。本格的には。

スタジオワイエスさんですね。
CG化が進む中で現在も手描き背景を多く手掛けている老舗のスタジオですね。

はい、そこで実際に仕事をしながら覚えました。結果として15年もの間、在籍してました。

シーンによって一概に言えないでしょうが一日にどのくらい描き上げていたのですか?

ペンを使って縁取りするようなイラストタッチの背景なら一日、4〜5枚いけるんですが、
そういった作品が今はほとんどなく緻密な絵が多いので今だと1〜2枚あがればいい方だと思います。

ゲームにしろアニメにしろ、大勢の人が交わってひとつの作品になるじゃないですか。

うーん、そうなんですよね、自分だけの作品ではないのですが、自分の絵がでたりすると嬉しかったり、
再放送やパッケージ化されて残っていくので、多くの人の目に触れる機会が多いので、
それは良かったなと思います。ただ、今、個人でやってる作品は自分ひとりですからまた思いが違いますね。

ポスターカラーは難しい。
でも慣れれば透明水彩風にもアクリル風にもなる万能絵具。
いまや湘南を代表する水彩画家の印象です。
初めて北さんの作品を見た時に思わず湘南に行きたくなるような情景で感銘を受けました。
後から全てニッカーのポスターカラーを使っていたことに驚きと喜びを感じました。

江の島の風景に反響が多かった、地元だし、
描いてて自分自身が楽しいのが一番ですね。
自然風景だけよりも海、空、建物、乗り物などが混在した絵が好きです。

湘南に行ったことない人でも、北さんの絵をみたら行ってみたくなります。
アニメ出身だと動くキャラのパートは描かないのに電車だったり動物だったりも緻密に描かれる。
これら湘南を舞台にした作品は自ら撮影したものをベースにしてるんですか?

そうです。以前は写真家の方に譲っていただいたりでしたが、最近は自分で撮ったものをもとに描いてます。
僕は、写真や見本を見ながら描くタイプです。

ポスターカラー以外に愛用する画材や絵具はありますか?

ほとんどないですね。透明水彩も使わないです。
ポスターカラーは水彩・油絵具と比べても扱いが難しいと思います。
きれいに塗り重ねるのが慣れないと難しい。水に溶けてしまうので。日常の感覚で掴むしかないですね。
言葉で説明が難しい(笑)細かい作業には適するけど、大きな面を塗るのがムラなどでないようにするのが難しい。
でも慣れると、透明水彩風にもアクリル風にも描けるので万能な絵具です。
透明水彩だと不透明感はだせませんしね。
ちなみにポスターカラーはいつもニッカー絵具を使ってます。
ニッカーの絵具がアニメ背景のシェアをほとんど占めていたので最初からそれ以外を使う機会があまりなかったのですが、他社と比べると、固まりすぎずに適度に水にも溶けて塗り易いと思います。アラビアガムを使ってるからかもしれないですね。
紙を濡らした時に絵具の広がり具合もちょうどよいです。
筆は名村大成堂のHBP平筆と削用筆(東紅)、紙はMUSEのニューTMKポスターかオリオンのシリウス紙です。
大半はTMKですが、シリウス紙は水彩紙で表面がザラザラしてるので透明水彩画風にしたい時に使います。

水彩教室の講師として活躍されてますね。

今はカルチャースクールの講師を2件、老人介護施設での講師などしてます。
今まで教える経験がなかったので、苦労しました。特に人数が多いと個々でレベルも飲み込みも違うので、
順序だててすすめてゆく難しさを感じます。ただ一度、流れを伝えるとだいぶスムーズになりました。
参加者も経験者・初心者もさまざまです。経験者の方が筆さばきは当然良いですが、
ほとんどの人がアクリル、油絵具、水彩の経験があってもポスターカラーは初めて。
ポスターカラーは難しいと言っても、なんだかんだ皆さん絵として形になりますね。

普段、あまり絵を描かない人が、上手く見せるコツはありますか?

バランス、大きさと配置ですかね。特に雲なんかは形と配置が大きい。
欲張ってたくさん描き過ぎない、現実にない形にはしない。
植物は僕も得意でないのですが、やっぱりシルエットですね。
人工物もシルエットですね。

結局、全部、形とバランスですね(笑)
となると下絵が重要に感じます。でもポスターカラーは線画を消してしまいますね。

僕は結構、下絵は緻密に描きます。1.2日かけて。
確かに下絵は描き重ねると、消えちゃいますね。だから、シルエットだけで描く人もいると思います。
でもポスターカラーなら細かい作業に適してるので、シルエットさえうまくとれば描き込みはできます。

今後、ご自身ではどういった活動や展開を描いてますか?

僕はグループ展が多いので、個展をしたいのと、イラストレーター的な仕事も多いので
より風景画の水彩画家として活動していきたいです。

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